2010年05月16日

今井彰著「ガラスの巨塔」

今井彰著「ガラスの巨塔」を読んだ。

元NHKの「プロジェクトX」プロデューサーが、退社してから書いた本だ。

いや、退社しなければ、書けなかった本だ。

「卑怯な人間」を、これだけ緻密に描いた物語を、私は知らない。

筒井康隆「文学部唯野教授」の政争にはユーモアがあり、馳星周の書く裏切りには悲壮と必然があった。
北方三国志においても、関羽を殺した糜芳への嫌悪よりも、関羽の大きさが際立つだけだった。

陽のあたらない実力派の男が、ある番組をさかいにトントン拍子に出世をしていく。
そして大組織の論理に絡めとられながら、大きな力を手に入れて、それでも誠実に仕事をこなす。
面白い。

世の常であるが、絶頂期にある強者に、スキャンダルが襲いかかることは少ない。
復讐という名のスープは、冷めた頃が美味いのだろう。

主人公の西悟に、凋落の兆しが現れた頃、いままで溜まりに溜まっていた、男の嫉妬と悪意が四方八方から襲い掛かる。
翻弄される西。
職場での権限をはぎとられ、部下を失い、身体も、やがて精神も壊れていく。

この本によれば、怪文書が有効な業界というのがある。

銀行、NHK、役所など、人のお金を預かる、あるいは徴収して、運営するところだ。
怪文書の有効性、そして男の嫉妬には、なんかしらの因果関係があるんではなかろうか?
怪文書嫉妬曲線、みたいなもので関数化できそうな気がする。

ま、それはいいとして。
いずれにしろ、衝撃的な本だった。

プロジェクトXがやらせではなかった、という主張を、私はこの本で受け入れた。

とはいえ、10年来の友人が、NHKのテレビでやらせの片棒をかつがされたことも知っている。それは、酷い話だった。

結局、プロデューサーにもよるんだろう。

また、海老沢勝二(NHK元会長)の「題材」としての魅力には唸った。
名作「濁流」のタッチで高杉良が書いてくれないものだろうか(すでにあったら、失礼)。

この本は、本屋で手にとって、とりあえず買った。
会社に読むべきビジネス書を忘れてきてしまったので、読み始めたわけだが、一気に読んでしまった。

色々と来るものがあった本であるが、もっとも率直な読後感は「よくも、まぁ、著者にこれだけ書かせたな」というものだった。

裏表紙をみたら、案の定「発行者 見城徹」とあった。

さすが過ぎて、ベッドで吹いた。

posted by 手嶋 at 15:55| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月09日

葦の簾の向こう側

私はメゾネットのマンションに住んでいる。

きとぼーという名の猫がブラインドで遊ぶために、変形してしまった。
使い物にならなくなったブラインドは、ほんとに使い物にならない。

ところで、ネットの有名人でダダ漏れ女子の、そらのさん、という人がいる。

別にスカトロジーとは関係がない。

携帯向け掲示板コミュニティサービス「そらノート」を運営する、株式会社ソラノートの女性社員さんである。

彼女は、美容室で髪を切られる様を、ネットで動画配信するなど、日常生活もダダ漏れで流す。

かと思えば、民主党の仕分け作業をライブ中継したり、孫正義さん×佐々木俊尚さんの対談をダダ漏れする。

もちろん「普通のかわいい女の子が、自分の生活をネットで無防備に垂れ流す」というポジショニングがあった上で、派生した活動なのだが、今ではすっかりジャーナリストだ。

そんなダダ漏れ女子、そらのさんのTwitterは以下。
2万4000人のフォロワーがいる。
http://twitter.com/ksorano

私はメゾネットのマンションに住んでいる。

猫がブラインドで遊ぶために、変形してしまい、使い物にならなくなった。

誰も見ない、ダダ漏れおじさん、である。

100円ショップにいくと、葦(よし)のような素材の簾(すだれ)があったので、買ってきて、装着した。

編みこまれた葦の向こうに、竹が透けてみえるように鉢を移動させると、良い感じになった。簾は100円なので、1ヶ月で壊れてしまっても、いいと思っている。

風情ある、ちょっと漏れおじさん、が出来上がった。

posted by 手嶋 at 16:36| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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